「ふたりでのった新幹線」という子供向けの本を読みました。
小学校四年生と一年生の兄弟がお母さんに言いつかってお父さんの大事な書類を新幹線に乗って届ける、という話です。で、お兄さんはお弁当を食べ過ぎてお腹を壊しトイレに駆け込み、弟は帰ってこないお兄さんを捜して新幹線内で迷子になってしまい、挙げ句大事な書類の入ったリュックをなくしてしまい…という道中。しかし周囲の親切な大人が兄弟に親切にしてくれて兄弟は無事お父さんのもとに書類を届けました、というお話です。
いや、これ前提がおかしいだろ。そんな大事な書類を小学生に運搬させるなよ、と。
でもそこはそれ仕掛けというか設定がお母さんの口から語られます。
条件は金曜夜。明日までにお父さんに書類を届けなくてはいけない。時間が遅いので宅急便でも速達でも間に合わない。お母さんは明日仕事なので届けに行けない。お父さんは風邪を引いているので取りに来られない。
という設定です。
ここまで設定しているんですが、その設定が穴だらけです。
なんでファックスじゃいけないのか。その書類は土曜日に必ず原本が手元になくてはいけないのか。しかし、そんな大事な書類ならそもそも小学生が運搬するほうがおかしい。
そして、土曜日にお父さんは寝込んでいて電車に乗れないと言うことは、当然会社にも行けないということです。会社に行けないのに何故原本が必要なのかが分からない。個人で仕事?いや、単身赴任という設定があるので、ある程度の地域に支店が存在する会社にお父さんはお勤めのはずである。
で、お父さんは会社に行けないんだから、そもそも土曜日当日に書類が必要になると言う方がおかしい。翌日の日曜日、宅急便の日曜午前指定でいいだろと思います。もっと言うなら、お父さんの会社宛に宅急便で日曜日に届けて、お父さんの手元にはファックスだけ送付すればいい。
こんなに頑張って設定を書いているのに、その設定がツッコミどころだらけです。だから設定が余計小賢しく感じられます。
なら素直に小学生がお父さんのところに遊びに行く話じゃいけなかったのかと思います。
あと気になるのは、書類を入れたリュックがなくなって、そのリュックを取ったのが、サングラスのお兄さんとおけしょうのこいお姉さんじゃないかと疑われる場面ですね。サングラスはいいんだけど後ろに控えているおけしょうのこいお姉さんという存在がまた意味が分からない。
サングラスの怖いお兄さんとおけしょうのこいお姉さんとまとめて子供の目には悪そうに見えたんだけど、実は二人ともいい人だったよ!という話なのは分かります。
ですがそこで「おけしょうのこいお姉さん」を出してくるその姿勢がそもそも偏見に満ちているではありませんか。
子供から見たら化粧が濃いか濃くないかなんてよくわかんないし、そもそも子供から見たら20代でもおじちゃんおばちゃんに見えるだろうよ!
サングラスのお兄さんは「サングラスのお兄さんがめんどくさそうに答えた」り「サングラスしてるから怖く見えたけどサングラス取ってみたら優しそうだった」という仕掛けがあるから、一見怖そうに見えるルックスという仕掛けの意味が分かります。
だけどお姉さんは、子供に無愛想に対応したわけでもないし、嫌なことを言ったわけでもないんですよ。ただ単に子供の目から見ておけしょうが濃かっただけで、連れのお兄さんと楽しそうにおしゃべりしているだけです。
なんだか凄い理不尽なものを感じました。まあでも子供ですからね、小学一年生だからね、一度「おねえさんおけしょうが濃いね」と思ったらずっとそうだよね、とそこは妙に納得しました。
いや、児童向けの書物の設定にこんなツッコミ入れるのも大人げないのは分かってますよ!分かってるんだけど書類を届ける話があまりにも変だったので、ついでにおねえさんへの偏見が気になりました(笑)
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