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横山秀夫『臨場』を読む

横山秀夫『臨場』を買ってきました。ドラマを第一シーズンから見てるんで、原作の方が後になります。原作は短編の連作集という感じなんですね。ドラマだと倉石さん主役に全て置き換えられていますが、原作だと倉石さんはちょこっとしか出てこないこともあり、まさに原作とドラマは別物という印象でした。

個人的に一番良いなと思ったのは『餞』。この選曲が泣かせにきてるだろ!と、うっかり小松崎さんに感情移入して泣きそうになりました(笑)

『黒星』原作の小坂さんのだめんずウォーカーぶりに衝撃を受けました。ドラマはみんな健全ですよねえ。

『真夜中の調書』犯罪者の息子を庇う父親に投げかけた、倉石さんの突き放すような台詞が、さらに佐倉さんによって咀嚼され、父親に伝わる。
加害者と被害者にはあった長い年月にわたるつながりが、この息子と父親にはない。それは父親がそれを投げ出してしまったからであると。その台詞が切ないですね。

『声』はつい最近ドラマで見たばかりですが、なるほど確かに評判通りドラマは随分マイルドになってるんですね。梨緒さんは決してそんなつもりはないのに、そういう方向に取る悪い男に行き会ってしまって、そういう方向に取られてしまうんだろうなあ。
しかし、原作の職場のオッサン上司二人は酷すぎるんじゃないかと…ドラマのは、ナチュラルにセクハラボディタッチをかます上司がすぐに「女の子の書いた物」とか言い出したり、実力を認めて引き抜きに来た他紙の編集者がやっぱり彼女狙いだったとかそういう話でしたよね。
でも逆にそれって最初からセクハラ系のキャラなのであって「まあ、こういう人いるよね」という印象だったのですよ。原作はオッサン二人とも梨緒さんが好きだと言いながらコレですからね。なんか余計、最低なんじゃないかと。

イチも設定違うんですね。
原作:既婚者で、どっぷり嵌った若い不倫相手が一度ウザくなったら別れさせるように自分から仕向ける
ドラマ:独身。準キャリアで水商売のおねえちゃんと一度は付き合ったけど別れる
ドラマのイチのほうが身綺麗に改変されているような(笑)ドラマは色々な意味で健全な世界観になっているんだと思いました。

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