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May 2010

黒川博行「螻蛄(けら)」を読む

図書カードをゲットしたので超・久しぶりにハードカバーに手を出してみました。
このシリーズ『暗礁』を読んだはずなんだけど、どうも記憶が曖昧です。まあ、場所が大阪か北朝鮮か沖縄かで、やってる内容は変わらないような気がするんですが(笑)今回は桑原さんが東京デビューという話だと知り、買ってみましたよ!どんな理由だ。

序盤、二宮がもうそろそろ38になるという設定を見て、時は流れたなあ…と思ったり、この人本当に今後の人生大丈夫なのかとうっかり心配したりでした。だって嶋田さんがゴルフレッスンのDVDみてるところにお邪魔して、

「ゴルフする?」
「下手なんです」
「じゃあこのレッスンDVD持っていきなよ」
「DVD本体がありません」
「じゃあ本体ごとあげるよ」

って、DVDソフトを本体ごとをお持ち帰り。もうすぐ38にもなろうという人が昔お世話になったヤクザの若頭に、いま使ってるDVD配線ひっこぬいてそのま貰って帰るのかよ!それはカタギの思考回路ではないよ!

常々、二宮さんは母ちゃんがお亡くなりになったら兵糧が尽きて死ぬんじゃ無かろうかと思っていたのですが、今回も従妹の悠紀ちゃんとか悠紀ちゃんの知人のゲイバーにお勤めの麻衣ちゃんとか、もう本当に色々な人にお世話になっています。そういえば今回は母親にはお金を借りていないような気が…と思ったら母親に借りたお金があるから旅先で昼キャバに行こうとか思いついててどうしようかと思いました。
『疫病神』の頃の二宮さんはともかく、今回の二宮さんは間違いなくマダオなんじゃないかと思わされましたヨ。

って、全然本編に関係ないですな。本編は宗教法人に絡んでヤクザの桑原さん(と桑原にひきずられた二宮)がお金儲けをもくろむ話です。しかし二宮・桑原ほかシリーズを通じて登場するキャスト以外はお金儲けをしようとする坊主とか坊主を抱き込んだ警察とか対立組織のチンピラとかそういう人たちしか登場しないという。
まずはここに行って殴られ、次にココでボロ雑巾になり、さらにはあそこで死にそうになり、というイベントが次々と起こり、…と、なんか連載モノっぽい話であるといいますか(実際に連載ものだったような)バタバタやってるうちに終わっちゃったかなという気はしなくもありません。
シリーズものとしては最初の『疫病神』やら『国境』の方が面白いと思いますので、このシリーズで最初にコレを読んじゃうよりも、最初の二作で行ってみたほうがいいんじゃないかなーと思いました次第です。

このシリーズは毎回いろんな利権が出てきて、それをとても詳しく書いてあるんですが、だから主人公がなにかを懐疑したり目覚めたりとかいうことはひとつもないんですね。とりあえずお金儲け、それですらない。
主人公の二宮は、ラクに稼げるかと思ってうっかり変な話に乗って、毎回変なトラブルに巻き込まれ、毎回引きずり廻され死にそうになり、ここまで来たらなんかお金貰わないとやってらんねー!という人です。なので実は、「金儲け」というポリシーもありません。そういうものがあるなら一本筋が通っているんだけど、べつにそういう筋もない。
二宮の今回の稼ぎは300万なんですが、毎回毎回積み重ねて今回もこんな目に遭って、それで300万なら最初からやらない方がいいと思うんですよ。というのは実は、二宮も毎回思ってるんだけど、何故か二宮は割に合わない行為を毎回繰り返す。結局、二宮はそういう懲りない人だなーと。

どんな大きなものに触れてもなにひとつ変わらない。その徹底した空気がこのシリーズの魅力だと思います。とりあえず毎回懲りずにオチも一緒で笑ってしまう。ただまあそのかわり、どれを読んでもべつに変わらないよね、という気がしなくもありません(爆)

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おべんとう

突然、キティちゃんのキャラ弁を作るのだよ!と意気込んでみました。

20100506081104

どう見ても普通のねこです。なんか猛烈な敗北感に襲われています…
キャラものって難しいんですね。反省しました。

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「江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた」

連休中に出かけて、電車の中でコレを読みました。
つまりは、明治時代というのは「江戸時代を懐かしむのは御法度」という状況で、世代が断絶し、江戸時代を肌で感じていない世代が大正時代になって江戸ものを創作し始めたため、その後創作された江戸ものは真実の江戸時代を反映していない、みたいなのがタイトルの内容です。
ので、ホントはこんなだったよ!という江戸時代のネタがたくさん出てくる本です。大奥の真実なんていうのは、守秘義務があるからなかなか表には出てこないらしい。それを資料から「実はこうだった」みたいなのはとても面白かったです。

あと、商家というのは婿養子前提であると。時代もので良く「バカ旦那」というのが出てきますが、実際にはバカ旦那では身代が危うくなる上に、商家の組合ぜんたいに迷惑をかけるので、商家を継ぐのは婿養子であったそうです。経営者として良さそうなのを選んで娘の婿にするわけですね。江戸時代だって実子になんか継がせないのに、現代は実子に継がせるなんて江戸時代の方が進んでますよ!というのには笑ってしまいました。
そうだ、新しい時代劇のジャンルとして商家で成功する主人公の物語を!ってそれもリーマンの出世物みたいな切り口ですが。

大学の時の日本史の講義で、殉死というのは現代人とは違うメンタルで行われるのであって、森鴎外が殉死について書いてるんだけど、あれは実際とは違っていて当時の発想としてはこうだ、みたいな話を聞いたことがあり、この本を読んでそれを思い出しました。
さらに連想して今すぐ思いつくのは大河ドラマで、最近のはもう、笑っちゃうくらいに、戦争はいけないと二言目には口をついて出る。それが時代を問わず、戦国大名だろうが、鎌倉武士だろうが言っている。そこは?とずっと思っていたんですが、作り手がその時訴えたいテーマを「時代物」を使って表現するというのは、昔からあることではあるんですかね。まあ、今どきの「戦争イクナイ!」みたいなのはちょっとやりすぎだと思いますがね。あれはもう、その人や出来事を訴えたいわけではなく、最初にやりたいことが決まっててネタを当てはめてるだけに見えますからね。

って、なんか話がズレました。

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