酒井順子の「女子と鉄道」
能登半島に旅行に行ってきました。金沢駅でコンビニでなんとなく買って帰りの列車で読んだ本。文庫落ちしたばかりだったようで平積みになっていました。
酒井順子さんの乗り鉄エッセイ…みたいなかんじ?
とは言っても所謂「鉄ちゃん」からイメージされる求道的なかんじではなく御本人曰くぬるいテツの道。それは鉄道。華道や茶道があるように、鉄の道と書いて鉄道。
で、おもしろいなあと思ったのがなんだかんだ言ってキャラに走るととたんにイキイキとするところですね。まずひとつはスイカペンギン。スイカペンギンのかわいさについて熱く語っていらっしゃる。
この本では語られませんが、関西はイコカのカモノハシですヨ。
なんかこう醸し出すイメージが関西っぽいと非関西人(関西在住)のわたしは勝手に思いました。
そしてもうひとつ、新幹線。日本の大動脈たる新幹線…の車両について、彼女が描くイメージはこうですよ。
まず700系。40代前半の働き盛りの彼は、若い頃より仕事で評価される今になってモテてきた感じ。ファニーフェイスに愛嬌あり、自虐ネタも含めた語りで人気者、モテる前に結婚しちゃったもんで、いまになってはもっと美人と結婚できればよかったな~とか思っている。仕事に関しては根回し上等、やるとなったらタフなネゴシエーター、仕事となったら悪どいことだってやっちゃうわけですよ。
いっぽう500系。イケメンの彼は実家も金持ち、嫁も当然美人です。しかしそれ故か面白みのないタイプと思われているというか、ひとを見下しているように見える…らしい。そして根回しタイプの700系とは対照的に理論派ですよ。
そして800系つばめ。不況時に入社した彼は地味めだけど中身で勝負!若いから若さの情熱で推すタイプ!でも仕事の実績も少ないせいか、700系とか500系とかには相手にされてません。
と、まあこんなかんじで。
他の章はこの路線にのってこうだったああだった、こんな人に出会ってこんな想い出があってって語ってるわけですが、新幹線だけいきなり擬人化です。有り体に言って、これは妄想の類です。ここだけいきなり同人誌レベルの鉄道擬人化になっているわけですよ。なんでなんだ!(笑)
そこはそれわたしとしては、700系とか500系なんかはもうちょっと若く設定してもいいだろ、という気がしますね。そして100系も300系もキャラを出して頂きたいところです。やはり他人様の妄想を見るのは楽しいモノですよ。
まあそんなわけで(どんなわけだ)男女の差というところを一番感じたのは鉄道に関するストイックな求道心があるかないかとかでなく、キャラものに走るかどうかというところでした。
この道でキャラに走るのは女子の志向だと思うんだ、うん。
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