« 大河ドラマ「太平記」 | Main | 「風と雲と虹と」感想-2 平一門のみなさん »

「風と雲と虹と」感想-1(貴子と良子)

時代劇専門チャンネルで現在リピート放送中の「風と雲と虹と」ですが、去年の初放映時、全部見終わった後になんか感想をいっぱい書いたのがありまして、どうやら下書きだけで放置していたようで。

せっかく、今回の放送で未見だった分を見たもので、アップしてみることにしましたよ。アホのように長いですが(汗)まあそれはいつも長いからな…
いっぱいあるので分けてアップ。初回はヒロイン二人、貴子と良子です。
以下。

********

貴子はサユリでなければ成り立たない役ですが、サユリでなかったら多分許せない(笑)
今こういう役を大河に出してきたらフルボッコにバッシングされる様が目に浮かびます。でも非常に味わいのある役ですね。小次郎と一緒に太郎が屋敷に来た時から、貴子は太郎のことも気になってるんだよね。それで小次郎に「一途な小次郎さまは素敵です」アピールをする。で、太郎のことは「浮気心のあるお方」と言ってあしらう。そういう態度なんだけど、ああ太郎を意識するからこういう言動になるんだよね…感がビシビシ。

小次郎・太郎・貴子の三角関係はなんだか「School Days」を見ているような気がしました。あ、この場合、小次郎=言葉で太郎=世界で貴子=誠ですね(男女逆かよ)。言葉の知らないところで誠と世界は彼女を裏切り、それをある日言葉は知る。最悪のカタチで現実を突きつけられる。
それを思い出しましたよ。小次郎の知らないところで太郎と貴子は彼を裏切り、小次郎は、貴子の寝所に忍んでいく太郎を目撃する…
BGMのポンポコは笑うところですか?と思いましたが。うん。あれはどんな演出?

そうは言いつつ、貴子は自分ひとりで小次郎を裏切ったりはできません。自らの意思を持って生きるように育っていませんから。それが都の姫君というもので。貴子の乳母の手引きで、太郎は貴子と二人きりになり、また太郎は貴子の寝所に入り込むことが出来た。
善良な貴子は小次郎を裏切ろうと思ったわけではないと思う。太郎に強引に抱きしめられ押し倒され…ああこのまま手籠めにされちゃうのかお姫様可哀想だねえ、という展開が来るのかな?と、思った。
だけど違うんですねえ。ココが貴子の本領。乳母の差し金で太郎と二人きりになった貴子。太郎にちゅーされた貴子はすっかりとろけてしまって、太郎に「乳母殿が来る、しゃんとしなさい」と注意されてしまう。そこで貴子は呟く。
「だあってえ…」

この場面、心が震える思いでしたよ(笑)か弱く美しい都の姫君が、「女」というものを丸出しにする。スゲー。

で、結局貴子は小次郎を裏切ってしまう。
ここで太郎ちゃんと幸せになっていればそれはそれで筋が通ったかも知れませんが、人間というのは弱いものでそうはいかない。太郎ちゃんは所詮貴子のことを恋のゲームのお相手としか見ていないから、他の有力なお家柄の姫君の元へ通う。貴子は、太郎が自分に対してことのほか真摯だったから受け入れてしまったというのに、騙された気持ちになる。太郎に「男女のことはそういうものでしょう」と浮気当然な発言をされて(まあ、実際当時はそうだわな)貴子は愚痴る。
「小次郎さまならばそうではない」と。

もう、グダグダな人なんですねー。生真面目な小次郎と、男ぶりがいかにも魅力的な太郎の間で揺れて、小次郎に失望したかと思うと、今度は太郎と小次郎を比べて小次郎の方がいいと言う。エエエそれどうなのよって。

いや、小次郎と太郎どっちがいいかなーというのはそりゃどっちも魅力的なので揺れるのはとても分かる気がしますけどね。貴子さまは、前述の通り都の姫君で、己の意思を持つようには育っていません。
だから、裏切るつもりはなくても状況がそうなると裏切ってしまう。強い心を持っていないから。その場で流されてしまう。

って、誰の話だこれ。そうです太郎ちゃんの話です。太郎は小次郎を裏切るつもりなんかなかったんですよ。良兼おじさんの陣所へ向かった時。だけど状況に流されて小次郎を裏切ってしまった。その場に流されて。

そうなんです、貴子と太郎はとても良く似ています。同じように小次郎を愛し、同じようなカタチで小次郎を裏切る。

その貴子が遊女に身を落として、小次郎に拾われて、板東へついていって、いくさが起こる。小次郎敗戦の知らせを聞いて貴子は太郎のところへ逃げようとする。小次郎はそんな貴子に失望せざるを得ない。
これ、反射的に逃げようと思ったんでしょうね。その反射っぷりが日和見で、なんとも弱く人間らしい女性です。小次郎が言うとおり、この人は都の女なのです。
貴子は、小次郎にすがりつき、「小次郎さまの手で殺してください」と願う。
陰でコソコソ逃げようとした女が今更、「貴方が死んだら私を殺して」とか言い出す。だって、そう言うしかないじゃん。言い訳できないじゃん。悪く取ればそんな感じです。貴子は本当に弱い。都の女だから、自分一人では生きていけない。
だけどこういう、本当に弱い女を、その弱さをきちんと描いているこの作品はとても魅力的です。

そんな風に、心ならずも愛する人を裏切り、状況に流され続けてきた貴子は、最期は無残にも雑兵に乱暴され殺される。なんて悲惨なんでしょう。
これ、良兼軍に貴子たちが捕まった時、貴子が太郎の縁者だって言ってれば助かったかもしれんのですよね。だけど貴子はそうしなかった。その結果、無残な最期を遂げた。貴子は自らの最期だけは選んだのかもしれません。

ところで貴子の屋敷が焼けた時都のくぐつの会話を聞いてると、アレですな。「貴子さまの家が焼けちゃったんだね」「助けてあげようか」「だってあの姫君は小次郎さまを裏切って太郎とくっついた女でしょ?ほっとけほっとけ」こんな感じだったと思いますが、てことは貴子が小次郎とくっついたままだったら助けてくれたんですか?くぐつの面々ってどんだけ小次郎派なの?
いや、小次郎なら、たとえ板東に帰っても誰か都に残しておいて貴子の屋敷が火事になったらすぐ手配したと思うんですけどね。

あと貴子が遊女やってたのを板東中に言って廻ったのは源護ですかい。あの展開はそうだよね?後の話を見ると良正おじさんも知ってたようだし、知らぬは太郎ばかりなりですか?(真樹が喋らなかったろうから)

さていっぽうで良子です。これはもう完璧なまでにヒロイン性格ですね。小次郎を想い、彼を明るく支え、父と対立しても愚痴もこぼさず、子供を守り、小次郎のかつての恋人貴子のことも気にかける。
何処に出しても恥ずかしくありません。ただ、こういう性格なので、物語的なインパクトは実は弱いのかもしれない。強烈な印象を残すという点では貴子さまだよな…性格がいいより、多少アレな方が物語的には輝く、と思う。

そんなこと言ってますが良子は本当にいい人です。「良子は板東の女」って自分で言ってますけど、他に登場する板東の女は源三姉妹とかですからね。板東の女も色々だ(当然です)都とか板東とかそういうのを超越して、良子はヒロインとして人格者なのですよね。

小次郎のことを好きだったけど、いざ彼に略奪されてみると「他の人のものになるから欲しくなるなんてずるいわ」ですから。なんて筋の通った人だ。良子がこんな素直で筋の通った性格だし、良兼さん家はうまくいっていたんでしょうね。あの後妻が来るまでは。

最終回、どうなるかと思ったけどやっぱりちっちゃい子が殺されるのを見るのはイヤなもんなので、良子と豊田丸が逃げ延びてよかったです。代償に、桔梗が殺されちゃいましたが…

|

« 大河ドラマ「太平記」 | Main | 「風と雲と虹と」感想-2 平一門のみなさん »

「大河ドラマ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38645/44631319

Listed below are links to weblogs that reference 「風と雲と虹と」感想-1(貴子と良子):

« 大河ドラマ「太平記」 | Main | 「風と雲と虹と」感想-2 平一門のみなさん »