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スカーレット・ピンパーネル

宝塚大劇場まで行って「スカーレット・ピンパーネル」を見てきました。いやあ、おもしろかったですよ。ただ、悲しいかな宝塚のオケは健在。悪い意味で。ああ、いい歌だねえ…と思っているとぱおおおお~んって感じにハズしてくれます(笑)何年も見てないわりには、そういう昔と変わらないものが気になりました。宝塚って変わらないですねえ。

お話はフランス革命…の1794年、理想を追い求めて始まったはずの革命はいつしか独裁と恐慌へと変貌し、という時代。行きすぎた「革命」により失われる命を救うために尽力する組織「スカーレット・ピンパーネル」。その頭目はどうやらイギリス人貴族であるらしい?
かつての革命の闘士にして花形女優のマルグリット、彼女の夫となったイギリス人貴族のパーシー。彼こそがスカーレット・ピンパーネルのリーダー。
そして、かつてマルグリットと共に革命を戦い、いまは公安委員会で働き反革命の人々を捕縛するショーヴラン。彼はスカーレット・ピンパーネルを追う。

とゆう設定ですね。
パーシーとマルグリットは夫婦でありながらお互い互いに言えない秘密を持ち、ショーヴランはマルグリットの弱点を突いて彼女を脅す。この三人の関係は一筋縄ではいかずにディープでアダルトで微妙で非常に見応えがありました。お話もちゃんとしていて、コレおかしいだろうというところも特になく、充実した観劇となりました。よかったよかった。
詳細感想は閉じてゴー。

ショーヴランが最初にパーシーにシャブリって言われてたっけ?というわけでシャブリ君(仮)ですが、どっかで見たよなこういうキャラと思いながらずーっと眺めておりました。この黒い悪役ぶりは素晴らしいキャラ造型だし、公権力の手先となって主人公を追いつめるところはジャヴェールを彷彿とさせるのか?と思ってみたり、マルグリットの弱さにつけ込むあたりはいきなり絶チルの兵部を思い出したり(突飛でスンマセン)そういえばパーシーは絶チルの皆本よりよほど融通が利く人だけど、彼は彼なりにうまくやっているつもりで、それでも妻のマルグリットとすれ違ってしまうんだよね。ショーヴランの負の誘惑は兵部的なもので、マルグリットはあっけなくその負の力に嵌っていったわけで、パーシーくらい融通が利く男でもマルグリットはああなっちゃうんだから皆本じゃダメだよなあとコレを見ていていきなり思いました(本当に脈絡がないなあ)。負の情念から来る誘惑というのはそれくらい強いんですよ!って言ってたらあっさり瓦解しちゃったんだけどね、パーシー夫妻は。

そんなわけでショーヴランには引き込まれました。もう、一幕の途中から、彼が出てこないとつまらないと思ってしまう(笑)やはり、負の情念によって人をダークサイドに引きずり込む力というのはかくも強いものか…と。

でもね、なんか違和感あったんですよ。彼、パーシーの正体にかすりもしないんですね。ジャヴェールと比べるのも失礼なくらい、まったく主人公の正体に気づかない。もしかして?とかじゃなくて、本当に全く気づいていないんですよ。負のパワーはすごいんだけど、その強い力を有効に活用できていない。ジャヴェールなんかジャン・ヴァルジャンを見た瞬間コイツだ!と見抜いてしまうんですよ。たとえそれがマドレーヌさんでも。

有り体に言ってショーヴランは情念は超一級品なんだけど、現実のお役立ち度から行くと彼はかなりへなちょこです。パーシーに疑惑を抱きつつ尻尾を掴めないとかそういうレベルではない。まっっっっったく気づいてませんから、この人。この人バ○なんじゃないの?と途中から疑っていました。

そうしたら、二幕のほんとうに最後の方でようやくショーヴランが「今まで何故気づかなかった!パーシーこそがスカーレット・ピンパーネルだ!」って言い出すんですよ。舞台を見ながら心の中で突っ込んでしまいました。
「ほんとになんで今まで気づかなかったんだよ!!」と。
さらに彼ってば、クライマックスでパーシー本人に「おまえたちの目は節穴だ」とハッキリ言われてしまっておりまして、もう本当にそのとおりなので腹を抱えて笑いそうになりました。すごいよ、観客が見ながら思っていることを劇中でそのまま突っ込まれるなんて君サイコーだ…

でもね、彼、突っ込まれてるだけじゃないんですよ。負けじと自分でも突っ込む。フシアナ呼ばわりされたあと、さらに輝きを見せます。敵の面前で夫婦の和解トークを始めるパーシーとマルグリットに向かって「夫婦の会話は家でやれ」と言い放つ。(さらに、家に帰れればな、と続くわけですが)突っ込みも突っ込まれも両方こなしてくれます。
もしかして二番手敵キャラだけど一番美味しいってパターンですかショーヴラン?と思っていたら、オモシロキャラナンバーワンへと変貌を遂げてしまいました。れおん君、いい役だったね…

ってショーヴランから入りましたがパーシーとマルグリットも言うまでもなく良し。マルグリット、素晴らしいよ。なんて人間らしくて魅力的な女なんだ。パーシーもちょっと屈託がある感じがいい。この二人、お互い騙し合いなんですよね。そこが切なくて、単純に相手を信じている愛しているって話になっていないところがいい。パーシーもマルグリットも、決して悪い方に向かおうとしていないのです。なのに、マルグリットはパーシーの行動をなんとか理解しようとしてそれが出来ずにパーシーに不信感を抱いてしまう。パーシーもマルグリットを愛しているのに線を引いて彼女が入ってこられないエリアを作り、状況故にやむなく彼女をはぐらかし騙すような行動ばかり取ってしまう。
そして、ショーヴランという過去からの誘惑者がマルグリットを脅し、心を揺さぶり、マルグリットに裏切りの罪を着せようとする…ううむ、濃厚な人間ドラマです。
(ショーヴランは途中までこんなにかっこいいのに何故最後にフシアナに堕ちるかな。でもまあ最初からフシアナなんだけどね)

原作を知らなかったものでこれはどっちの方向に落とすんだ?もしかして悲劇エンドもありなの?とか妄想しながら見ていたのですが、もう、脳天気なくらいの超・ハッピーエンディングでした。そうだよねこういう展開で悲劇はおかしいよね…私はネタバレ上等!な人なのでパンフレット先に読んじゃってオチがわかっているのも平気なんですが、今回は我慢しましたよ。

キャストも色々役が付いていて美味しいお芝居だったように思います。なにこの組長の無駄遣い?と一瞬思ったけど二役だったんだね…フィナーレはちょっとエリザベートみたいでした。フィナーレと言えば先に退場したれおん君が所謂歌う青年でフィナーレの初っぱなに登場するもんで、「なんだよお前さんさっさと退場したと思ったら着替えてたのかよ!」と。よくある話ですね。

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