高任和夫「燃える氷」
高任和夫の燃える氷を読んでみる。
この人のは昔「架空取引」というリース業界ものをなんかの書評を見て読みましてなかなか面白かったのですが、これはちょっといまいちかな…個人的に。
次世代の夢のエネルギーと言われるメタンハイドレートは、日本では御前崎の海に存在し、調査そして実用化が進められている。だがメタンハイドレートの採掘は巨大地震を引き起こす危険性があることに主人公たちは気がつく。
メタンハイドレートをめぐる説明はわかりやすいし面白いし、一方後半に出てくる噴火からの避難のエピソードも面白いんですが、ラストに富士山噴火を持ってきたおかげでメタンハイドレートの話はどっかに行ってしまったような。あと、パニック小説らしく総理大臣やら登場するんですが、特に活躍するわけでもなく非常にありがちな造型なので、そのあたりもなんだかなー。もっと漫画好きな大臣とか!(モデルがバレバレすぎですがな)
女性についてのドリームがなんだか非常に痛々しいので、そこはちょっと苦笑。
結婚に夢を求めないけど主人公に寄り添ってくる女とか、キャリア志向でタカビーだけどいきなり主人公にしなだれかかってくる女(でも好みじゃないから付き合わない)とかそんなのが出てくる一方、唯一登場する専業主婦はわがまま・気まま・ヒステリー・旦那に不満だらけでいいとこなしです。それで、この奥さんの旦那は外国で出逢ったいい女(日本人)と不倫してみたり。
主人公の恋人女が手早く料理を作った描写が出てきた後、違う場面で「もしかして彼女はこういう水商売で働いていたのだろうか」というような内容のことを主人公が思ったりする場面があるあたりスゲーと素直に感心しました。
あと、葛西さん。嫁とうまくいかないのは分かった。そこはかまわない。だが、日本を襲う未曾有の大災害が起こってる時に、よその女を見て「俺はこの女に惚れたのだ」とかゆってるだけで我が子のことを一度も思い出してないあたり、この男は個人的にダメだと思いました。そんな男はいらねーよ。
とか突っ込みたくなるようなそんな感じに、途中から子供スルーです。オイオイ子供はどうしたよ!途中までいただろ!脳内から消去ですか!って感じです。
まあ、他にも突っ込みどころはあるのですが、かようにとっちらかってしまっておりまして、そのへんは勢いで読んだ後「あ、あれ?」という感想が残ります。
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