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「ローレライ」ネタバレ感想その2

劇場を出て原作既読のお友達にまず話しかけてしまいました。
「浅倉がとんでもない電波で衝撃を受けたんだけど!」
原作だと浅倉は最初はいい奴っぽいが、でも電波ぶりは原作のほうが上らしい。あれ以上か!じゃあ原作買うよ!というわけで原作買って来ました。

で、ばらばら見ましたが、東京に原爆を落とすキモは「皇居にも」って、そういう意味が入っているのか。そのあたりは映画では配慮がなされたものか、全削除ですね。なくても通ると思いましたが(っていうかあるのを知らなかったから)全然意味合いが変わってきます。映画の浅倉はトンでも電波だ。(原作でも電波らしいが上のがあるなしではまた違う意味を持つと思うし)

というわけで浅倉。電波説教軍人。Twelve~にも電波説教軍人いたな…あれも最初いい人に見せかけて一皮むいてみたらとんでもない電波でした(笑)なぜ福井作品には、壮絶な電波説教軍人(特技:騒ぐだけ騒いでおいて丸投げ)ばかり登場するのでしょうか。お友達に教えてもらいましたが、イージスにも電波説教野郎が登場するそうな。

手紙にはたった一行。国家を切腹?えええ?!いや、あの手紙はあぶり出しなのです。鉛筆で塗ると下書きが読めるかもしれないよ!

絹見VS浅倉ですが、「東京に原爆を落とすなんて駄目だ!」と浅倉に反対する絹見。これは役所さんでよかったかも。理想主義でいかにもいい人が説教しても、役所広司なら説得力がある。彼はそのように善人たりうるキャラだと思う。
浅倉が筋的に分かりやすい電波になったおかげで、絹見の言ってることがもっともすぎて、浅倉にひとつも共感できませんでした(笑)どっから見ても浅倉の言ってることはおかしい。やっちまえ絹見!というわけで、倒されて当然の敵を倒すのは葛藤というものがないですよ。
いやーびっくりした。私てっきり途中まで話を聞いていて「ローレライをくれてやるから東京に原爆を落とさない」んだと思ってたんですね。そしたらなんですか、ローレライを無償供与、そのかわり原爆を落とす?そんなアメリカに都合のいい条件を呑まないわけないじゃないですか。そんな交渉するのはどこの馬鹿ですか。あ、浅倉さんってゆー人?
高須は原作とは別ものだそうですが、映画の高須さんはメリケンさんの手先です。まるで小物です。分かりやすくていいかも(笑)

浅倉さんは迷惑です。Twelve~の東馬さんも迷惑だったけど。彼らがどのように迷惑かというと、彼らは結局、責任を取るつもりなどないってことですね。死ぬ間際浅倉が絹見に向かって「これからお前はお前の忌み嫌った人間兵器を使用する」と予言する。(いや、浅倉も南方戦線がらみがあるが、いまの浅倉の志向はなんたって、東京モンはみんなゴミくず無能ですから・爆)

でも、絹見はたとえば生きていたとしても木崎の娘に詫びる覚悟があるだろうし、清永の親に詫びる覚悟だってあると思う。どうしてもパウラが必要だったからパウラを連れて行った。絹見は確かに特攻はキライだけど、それはシステムとして無駄に人を死なせるから。死なせるのも辛いことだけど、少なくとも彼は、自分の部下を犠牲にしなければならない状況になったらそうするし、それを自分の心で受け止める覚悟がある。

そう見えるのは役所広司が演じてるからかもしれないけど、絹見は浅倉とは違う。
浅倉は(東京の真ん中に爆撃されない聖域があると論じない映画の浅倉は)「東京の人間」をひとかたまりで考える。犠牲になる人間は具体的に顔を浮かべる誰かではない。どーも原作の浅倉さんは南方戦線で人間の本質を見てしまったという話になってるようですが、映画はそーゆー流れにもなってないですから。
特攻を否定した絹見と、東京の人間まとめてゴミだ死んでしまえ的にばっさり切り捨てる浅倉はそもそも立ち位置が違う。
そして立ち位置が違う二人は、責任の取り方という点で決定的な差異を見せる。

浅倉は独善で起こした反乱を顔の見えない(いや、浅倉が見ていない)「日本人全員」に丸投げして自分勝手に死んでしまう。

絹見は他人が起こして自分たちが巻き込まれた反乱を収束しようとして顔の思い浮かぶ人たち、それ以外の日本人のために命を懸ける。
どっちに誠意があるか、論じるまでもありません。

東京に原爆を落として全部焼き払ってしまえ!って、浅倉はその問題提議のためだけに出てくる。だって、浅倉は責任を取るつもりがないから。たとえば東京の親戚が死んで、地方から出てくるとする。そーゆー人たちに、東京には無能な奴しか残っていないから私が殺した、とでも言えるんですか?そんな覚悟がある人が自分だけピストル自殺しますかいな。電波な上にチキンだなあ浅倉ってば。

(あ、映画は原作とは展開が違うというのは今日原作を読んだので、あくまでここで言っている浅倉は映画の浅倉についてです)

福井作品には「この日本を変えなければならない!」って人が毎回出てくるような気がするんですが、そう言ってる人は毎回こんな浅倉なり東馬のような人じゃないですか?言うだけ言って、責任取る気がないんだよね。確かに日本は変わらなければならない、のかもしれません。いや、そうなんでしょう。でも、浅倉なり東馬に焦土にされる筋合いはないんですよ。変わるのも自分、変えるのも自分、変わらなくて自責するのも全て自分。それが己で己に責任を取るということではないですか?

我侭いっぱい「変わらなきゃ変わらなきゃ!」って言ってまわりの全員空気のつもりで巻き添えにする、その本人は巻き込んで変えようと思っているものに対してなんら責任を取るつもりは無い。その責任感のなさが、なんの説得力もないと思うんだよなあ…

こういう人たちがたいがい死んじゃうのを見ると、福井作品においてカリスマ頭脳系電波キャラは最終的に肯定されるキャラではないのでしょう。それでもこういう人を敵(というか問題定義する人)においてみても、あまりにも彼らは無責任丸投げ根性むき出しチキンだから、そんなこと言われたってなーと思ってしまう…

・・・とりあえず原作を読んでみます。

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多分、この映画のブログを書く人は同じことを書くと思う。 でも、あえて書く。 作者の福井氏が唱えるように、“ガンダム”の影響を受けている。 そして、“宇宙戦艦ヤマト”みたいだ。 絹見真一(役所広司)はブライト(すこし違うけど)。 折笠征人(妻夫木聡)はアムロ。   “大人と子供”の構図を思い出す。 浅倉良橘(堤 真一)はシャア。   “自己保身に走る海軍司令部(=地球の引力に魂を引かれた地球連邦政府)”に�... [Read More]

Tracked on April 17, 2005 at 08:32 AM

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