レディ・ジョーカー映画版
もう昨日になりますが「レディ・ジョーカー」見てきました。映画版を。
行ってみたらそういえばレディースデーで1000円でお得。というわけで感想。
私は高村ファンなので読んでから行ったわけですが、これって、原作知らない人はどう思ったんだろう…?意味不明なところもあるのでは?そもそもなんで「レディ」で「ジョーカー」なのか映画で説明してないし。そりゃいくらなんでもまずいと思う。映画化にあたり、ばっさり削られた部分があるのは時間制限のある映画なので当たり前ですが、なんで「レディ・ジョーカー」なのかは言わないとマズいんじゃ…?
キャスティングはいいんじゃないかと。徳重聡の演技はちょっと?なところがありますが、いきなり初映画でこの合田ってのがそもそもハードル高いし。「弟」の方がよかったなあと思います。あと、渡哲也は当初城山役でオファーが来たそうなんですが(プログラム参照)、素直にそっちの方がよかったのでは?同じキャストの中でスライドするならもうちょっと老けた方がいいかもしれないけど國村or岸部あたりでどーかと。岸部一徳=白井さんはすごくビンゴだと思いましたが。
ヨウちゃんは違うのかも知れないけど、加藤晴彦くらい可愛いのが一人いた方が、なんたって潤いのない映画ですから。
でも別に原作通りにするこたないよなあ、とも思います。だって、原作通りなら、小説読めばいいわけで。映像化するなら映像映えするものにした方がいいし、だいたい合田の性格なんかマークス→照柿を経て変遷してるわけで、だったら徳重演じる別物の合田雄一郎でいいように思います。
最初、高村さんにお会いした時に「これは被差別側が、差別する側に対する復讐劇ですよね」と聞いたら、「違います。もう一度、ちゃんと本を読んでください」と言われて。
プログラムより監督コメント。
うっわ強烈なダメ出し!でも、それは違うんじゃないかなあと思います。だって誰も幸せになってないもの。単行本刊行時の宣伝コピーは「いのちよりも先に、魂が死んでゆく」というものだったと思いますが、痛快なように一瞬見えて、でもその痛快さが消えてしまう。なんかやってみたはずだったのに、それは自分が思ったものとは違うなにかに変質してしまった。なにかを守ってきたはずなのに、守ってきたものを自ら切り崩す形になってしまった。そして原作では重層的な構図でもって、様々な人の人生が細部まで描き込まれている。
なんか映画は全部やろうとしてダイジェスト版になってしまったような気がするんですが。だったらもっと大胆に切り口を見つけてカットしてもよかったのでは?素人なんで勝手なこと言うんですけど。高村作品の映像化では、BSドラマの「照柿」は、そりゃ一種別物ではあったけど、あれは原作の一部分を切り取って脚本家の独自な解釈も含めつつ、でも「照柿」ではあったと思うんですよ。
自分独自の解釈が「復讐」で、それを違うって言われちゃったんでしょうけど、だからって淡々と原作を追いかけなくても…せっかく映像作品なんだから、犯罪サスペンスものなスピードは生かして、その中で「それだけではない」ものを入れて欲しかったなあ。
なんか誘拐の流れは原作で読んだ方が面白かったですよ…?なんで企業脅して誘拐で赤ビールでっていう説明もなかったし。LJ作戦会議+チーム名決まる→半田が合田に会って、犯罪に荷担する決意、とかは入れてもいいと思うんですけど。
(でもヨウちゃんは指が無事なんだよなあ、映画だと)
ヨウちゃんと言えば、ヨウちゃんが定規とボールペンで脅迫状を書くのは入れておけばいいのに~とも思いました。あとで合田が同じ事をするわけですから、映画的には「レディ・ジョーカーと同じやりかたでレディ・ジョーカー犯に手紙を出す」って、より明確になると思うんだけど。
さてダイジェスト版な映画の中でひときわ輝いていたのは半田修平だと思いました。映画の半田はスニーカー萌えの人なのか…?合田にいきなりスニーカーくれるあたり非常におかしい(笑)半田と合田、なんで半田が合田を最後に刺すのか映画だとよく分からないですよね。(原作ではどうかっていうと微妙ですが。知らないウチにナイフ買ってたっていうのが理由っていうか、いやいやそれ理由なのかよっていうか)
映画は、原作にいろんなものを忠実になぞろうとして、ご想像におまかせしますな部分も随分多かったように思うので、せっかく映像なんだから映像として分かりやすい部分をちょっと足すだけで違うと思うんですが。合田も映画だけだと、なんで本庁から来たのか設定そのものが意味不明だし。
個人的には、「これ知らない人にはどれだけ分かったの?」という感想です。映画としては、せっかくの盛り上がれる誘拐劇部分の身代金偽装関係とかがイマイチだったと思います。最初復讐劇かと思えた、それくらい盛り上がった、でも実は違ったんだっていう作りなら、「これは復讐劇ではない」ということは表現できると思うんだけどなあ。なんかこの映画の作りは「これは単純な復讐劇じゃないんです、そうじゃないんです」と終始一貫して言われているようで、おかげでメリハリ効かない映画になってませんか?
このキャストで連続ドラマ版が見たいです。
映画見ながらそんなこと思ってました。でも渡哲也=物井さんは違う方がいいと…渡哲也に城山社長、というのは見る方のイメージで、本人やりたいのは物井さんというこの場合、本人にあってるのはどっちかというと他人がそう評価した城山さんの方だと思うんで。
や、私的にはキャストスライドなら岸部=物井さんが見てみたいなあ。「本庁から来た元エリートの刑事を一泡ふかせてやりたいと明確なターゲッティングを果たしてほくそ笑む吉川半田さん+飄々としつつ「悪鬼が」とかそこだけマジ顔してオソロシイこと言ってる岸部物井さんっていうのはシュールで怖いじゃないですか!
そんな時に、加藤晴彦@ヨウちゃんが画面の一服の清涼剤に。なんかだんだん別物になって参りました。
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Comments
はじめまして
私も2週間くらい前にみました。熱心な高村さんファンではありませんが、「レディ・ジョーカー」は読みました。しかし、細かいストーリーは覚えておらず、この映画を観ましたが、私は楽しめました。俳優達の演技に惹かれました。
うちのブログでもちょっと前に取り上げたので、TBさせてください。
Posted by: 自由なランナー | December 30, 2004 08:26 AM
はじめまして。コメントありがとうございます。
最近はあまり読んでいませんが、レディ・ジョーカーくらいまでは結構熱心な高村ファンなので、レディ・ジョーカーも映画化するのが楽しみでした。
楽しかったか?というと、(私は)楽しかった、のは楽しかったです。「ああ原作のこのシーンがあるー」というだけで楽しく、しかしそれだけに削られたところが勿体なくて、連続ドラマでもっと見たいよー!という感想を持ちました。
ので、面白かった!という意見は、個人的には嬉しいです。やっぱ好きな作家さんの映画なので。
俳優さんたちはとてもいいと思います。
というか、そもそも2時間の映画じゃ無理ですよね。
BSドラマとかにならないかな…
映像化すると、最初視聴率が全然取れないとかにもなりかねないと思うので。視聴率云々ではないのですが、視聴率を気にせず作れるところでドラマにならないかなーと思います。
TBありがとうございいます。たくさんの感想があるのですね。私まだ、BBS系で拾った感想しか見ていないもので、とても参考になります。
Posted by: みなみ | December 30, 2004 09:57 AM
私もこの作品は連続ドラマで観たいと思いました。
映画の2時間だけだと勿体無いです。
Posted by: chishi | January 06, 2005 09:38 PM
こんばんわ。コメントありがとうございます。
キャストがいいなあと思うだけに2時間なのが
もったいないなあと切に思います。
いっそ、思い切ってどこかに絞ってほしかったと
思いますね。
トラバもありがとうございます。
そちらにも感想がたくさんありますね。見させてもらおうと思います。
Posted by: みなみ | January 07, 2005 12:38 AM