サラ・ウォーターズ「半身」
サラ・ウォーターズ「半身」(創元推理文庫)を読了。
このミス関連で本屋に著作が並ぶ中、1年前のから引きました。だって、2冊より1冊の方が読みやすいじゃないですか(笑)
というわけで、時代はヴィクトリア朝、舞台は実在のミルバンク監獄。女囚が収監されるこの監獄を、とある貴婦人が慰問に訪れ、そこで貴婦人は不思議な女囚に出会う…というミステリアスな幕開き。綿密に描写されるミルバンク監獄。ヒロインたる貴婦人「わたし」が出会った女囚、シライナ・ドーズ。監獄に相応しからぬ雰囲気を持ったシライナの罪状は、詐欺と暴行。だが「わたし」はシライナに関する情報を集めていくにつれ、シライナと話すにつれ、彼女が犯罪者などではないと確信していく。
「わたし」とシライナは幾度も会い、語り合い、心の結びつきを深めていく。その先にはなにがあるのか。だいいちこの物語はどんな方向に転がっていくのか。
結末は、呆然とするほど意外でした。
この結末のために、この物語はこうも緻密に綿密に描写されてきたのかと思うと、「えええええ?」とゆー感じ。思い切りネタを割りますので反転ですが→「シライナは詐欺師じゃない」っていう方向にずっと話を持っていったけど、最後に彼女がやったのは詐欺以外のなんでもないじゃないですか。そんな皮肉な結末って。
そんなわけでつぎは「荊の城」にチャレンジしようと思います。
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