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花舞う長安/東京公演見てきて

「花舞う長安」はやっぱりくだらない作品でした。
東京公演見てきてやっぱりそうでした。いちばんくだらないのは、センスのない歌詞よりも舞台装置よりもなによりも、言い訳がましい主人公。主人公の玄宗皇帝は、ひとりの女を愛しすぎたがゆえに全てを壊してしまった男でありながら、結果負け籤を引いてしまうと(それも引くべくして引いたような籤だ)、最後の最後で言い訳をする。

楊貴妃への寵愛、楊貴妃の一族の重用…政治が乱れた唐の国で、怒りの矛先はすべて楊貴妃へと向かう。敗走した皇帝のもとには怒りにかられた民が詰め掛け、彼らは口々に叫ぶ。「楊貴妃を殺せ!」
その声を前にして、楊貴妃は堂々と、わたしは陛下のために死んでみせましょう、と言う。しかし皇帝は未練がましい。未練がましいくらいならいいんだが、彼は部下たちに向かって愚痴る。このような叛乱を招いたのはお前たちの責任もあるではないか、と。

はあ?!なんですかそれは!この期に及んで、しかも皇帝陛下ともあろうお方が、全部自分で決めてきたくせにいきなり責任押し付けですか?ヒトのせいですか?うっわー。なにこの人、サイテー。
そこで言い訳かよ!最後の最後でオレは悪くないと来たもんだ!今まで大丈夫大丈夫って能天気に構えてて、いざ負けてみたらヒトのせいですか。いいからお前が楊貴妃の代わりに死んでこい。

でも酒井作品の主人公ってこうなのです。くだらない美意識に浸って全てをぶち壊しにしておいて、最後の最後で言い訳するのです。オレは本当はこうなることはわかっていてやったんだ、とか。あるいは、こうなったのはまわりが悪かったせいもあるじゃないか、とか。
最初は筋の通った美意識であったかもしれないのに、つまんない言い訳してヒトのせいにするから、自分で自分のやったことをくだらないものに貶めてしまうのです。

国をまるごとぶち壊すくらいの手前勝手に走った挙句、最後の最後で「オレは悪くなかったんだ」と、すっごくみっともない言い訳をするのって、じつは悪いと思ってるからだよね?だから最後に言い訳するんだよね?最後の最後で自己弁護するくらいなら最初からやるんじゃない!あーみっともない、こんなくだらない男がタカラヅカの主人公だなんてそれ自体が許せない。

己の美意識に酔うなら酔うでよろしい。ひとりの女のために国を滅ぼすなんて、タカラヅカ的にはオッケーです。だってそれは、タカラヅカでなら存在し得る究極のファンタジーなのだから。オレはこの女のために全てを捨てた、それで満足だ!ってゆーんならそれでよいのです。だって舞台だし、現実にヒトが死ぬわけじゃないし、フィクションだから(笑)「おいおい巻き込まれた方がメーワクなんすけどなんて勝手な男!」と思いながらも、そういう究極のファンタジーを演じる男役を楽しむことが出来るのです。

でも酒井作品の主人公は、愛に殉じることができないのです。彼は彼女のために死ぬわけではないのです。「愛のために死ぬ」なんてそんな筋の通ったことは彼には出来ないのです。本当はできないくせに、「女に狂って身を滅ぼす自分って破滅の美学カッコいいじゃん」と自作自演のストーリーに酔ってみたりして、でも最後に我に返っちゃって、最後に「いや、オレこうなるってわかってたから!それにみんなも悪かったでしょ?だからオレ悪くないの!」とか言い出すのです。タダの小心者だから。
愛のために死ねるなら、たとえファンタジーとわかっていても、筋を通すなら美しい。だってそんな世界は、宝塚ならではのファンタジーだから。でも小心者の言い訳なんかタカラヅカで見たくない。てゆーか、そんなに滅びてみたけりゃ勝手にひとりでどうとでもすりゃいいでしょ?でも、結局ヤツらにはそんな勇気もないんですよ。

酒井作品の主人公は、私的にはダメダメです。言わせて貰うけど、あんたみたいなくだらない男に巻き込まれて、あんたをかばって、あんたより先に全てを失う周りのほうがよほど不幸なんだよ。なのに自分だけ不幸に酔ったあげく、オレは悪くないと言い訳して自己弁護する。なんでしょうかこの男どもは。

…しかし、私的には玄宗皇帝はアリでした(爆)
ここまで言っておいてなんだお前は!ってー感じですが、そりゃもう、これがわたるくん(星組トップ/湖月わたる)だからですよ。わたるくんが演じることで、この駄目男は何故か輝いてしまう。なので玄宗皇帝はアリです。
言っておきますが玄宗皇帝を光らせるのに、酒井せんせいの力は一ミクロンたりとも介在していません。わたるくんがもともと宝塚の男役として持っている魅力、キャラクター性、持ち味のみが、玄宗を光らせるのです。
なぜって、わたるくんはいい人なんだろうなあ、と思える地(の持ち味)があるからです。わたるくんはすごくいい人っぽく、しかもヒロインを一生懸命愛する姿が非常に似合う。地位も名誉も身分も関係なく、「俺は君が好きだ!」と往来の真ん中で叫べるよーなキャラです。しかも性格はジャンプの主人公のような単純明快な熱血漢です(笑)。ああ、わたるくんはこんなにいい人で、こんなに楊貴妃を好きだって言ってるんだからいいじゃない、みたいな。わたるくんみたいな純粋な人に「愛してる」って言われつづけてきたからこそ、楊貴妃は命を捨てられるのですよ。相手がわたるくんだから。酒井せんせいが描いた駄目皇帝じゃなくて、わたるくんだから。

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