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福井晴敏「Twelve.Y.O.」

福井晴敏「Twelve.Y.O.」読んでみました。
「亡国のイージス」をパラ見したら読みづらそうな感じだったので(いや、個人的に。あくまでシュミの話で。)乱歩賞の長さなら読めるよと思ってこっちをチョイス。実質二日で読んでしまったので、そう考えると読みやすかったです。

登場人物はその、うざさ100万倍のミサトもどきは本当にウザかったのですが(笑)あとその、どこのアニメですかっていう寡黙美少女ソルジャーとかベッタベタな展開でそうかこれはアニメだったんだね!そうならそうと最初に仰ってくださいよ!つー話でした。

登場人物の言ってることはアレだなあ、作者さんが「オレはコレを訴えたいんだー!」っていうのを、なんのひねりもなくストレート一直線に登場人物が台本を読んでいるようなかんじのように思えました。

話は荒唐無稽極まりないので、アニメだと思うとたのしいです。
この話って、よく登場してよく喋る人ほど、作者が思っていることをそのまま読み上げるんですよ台詞として。たとえば説明台詞を豪快に喋ったり「待ってました!」といわんばかりに作者さんのイイタイコトを畳みかけるように喋る。
その中では井島さん(上司)はあまり出てこない上に行動としては一番まともなので、一番まともに見えるような気がしました。

ここからはネタバレ、な感想。



というわけで、作者の思想をうったえた話としてはあまりに登場人物の言ってることがストレートすぎて非常にうすっぺらいものになりがちではないでしょうか、この小説は。
いやうすっぺらいんんですけど。
じゃあなにがうすっぺらいのか?それは出てくる人たちが、「日本はどうしたらいいのか」と問題点を訴えるんだけど、根底になにひとつ持ってないからじゃないでしょうか。
戦後日本はおかしい。これはいかん。変えなきゃいかん。そこまでは判ります。じゃあどうしようと思っている、どうしたい。そーゆーのは、この人たちにはなんもないんですな。東馬のやってることは本当はおかしいのです。ひとつの島を灰にしてこの国を12才から先に動かす。そんな権利が本当に彼にあるのか。

そんなものあるわけないでしょう。たとえ彼自身が「これは自分のためにやってることだ」って自覚していたとしても、そんなものなんの免罪符にもなりません。ひとつの島を塵芥に帰して、そこで一緒に自分が死んだからって償いになるとでも?冗談じゃないです。誰がどうするか、決めるのは今そこに生きている人です。そこにいる人たちです。巻き込む東馬じゃありません。

戦後の日本はおかしい。軍国主義だっておかしい。拝金主義はおかしい。そう言っていろいろなお題目を述べてくる、この小説の登場人物たちは、でも実はなにも持っていない人たちではないかと思います。日本を変えなきゃ!とか、このままじゃおかしいぜ!とか言いながら、じゃあ本当に大事なものはなんなのか?そういうものを考えているようで、実はなんにも考えてない。まったく地に足の付いていない人たちです。ありそうな要素は見えて、でもこの小説は人物描写が定型的で紋切り型なのであんまり見えないっていうか(言いたい放題だなあ…)

そんな作中の人物達が訴える「日本はおかしい!」っていうのは、悪いけどなんとも思えないのですよ。おかしいおかしいって言ってるだけで、その実中身が見えないんだもん、申し訳ないけど。

この人達は本当にこの国を愛しているのか?というのすら疑問だなあ。「日本はおかしい!」って、言いたいだけとしか思えない。言うだけならタダですよねえ?

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