映画「ロストクライム―閃光―」感想ですよ!

映画「ロストクライム―閃光―」を見てきましたので感想をば。なにか書かないと衝動がおさまらないかんじ。念のため、ネタバレ込みで。

とりあえずラブシーンが多いなあと。凄いのは、回想が良く入るんだけど、回想に入ってもラブシーンがあることです。なんかこれノルマ制なんじゃね?と、途中まで数えたのですがめんどくさくなってやめました(数えるな)

お話としては、所轄で起こったラーメン屋殺しの捜査で、出世狙いの若い所轄の刑事と、あと二ヶ月で定年の老刑事がコンビを組んで捜査する。老刑事のほうは、この事件にかの三億円事件が絡んでいることを察知し、封印された事件を掘り起こすべく事件の捜査にあたる。だが、警察官の家族が絡んでいた為にきちんと捜査されなかったという『三億円事件』を追う主人公コンビは、警察内で孤立し、追いつめられ…という展開。

トップクレジットは渡辺大ということになってます。奥田瑛二とのW主演で、実際に話を引っ張ってるのは奥田瑛二演じる滝口刑事の方じゃないかなと。そう思ったのは、渡辺大演じる若い刑事の方は片桐というんですが、誰も片桐さんの名前を口にしないんですね。警察内でも、この事件をかぎつけてくる記者も、みんな滝口を向いて話している。作中では片桐はオマケ扱い。

その滝口を片桐が終盤「おやっさん」と呼ぶようになり、つまり片桐は滝口に傾倒し、ラスト、これはネタバレなんだけど滝口を失った片桐が最後の最後で漸く真ん中に来る、みたいな話なのかなーと思いました。

なんだけど実際には片桐がいかにして滝口に傾倒するに至ったかとかそういう心境の変化とかとりたてて描かれていないので、なんでそうなるの?という割と根源的なところが個人的にはよくわかりませんでした(爆)。
というか、片桐は、これ、そもそもどういうキャラなのかよくわからない。彼は血気盛んでよくブチ切れる役であり、気に入らないことがあると彼女を乱暴に扱います。そういう役である割には、26才で巡査部長、結構出世が早くて、上昇志向であるらしい。いや、出世が早い上昇志向ならあんなに切れやすく周りにつっかかったりしないでしょうと思うんですよ。
上昇志向の人が滝口に引っ張り回されて、あるいは感化されて警察内で楯突くみたいな内容であるなら、片桐の心理の変化がもうちょっとないと、なんで彼が主役なのかすらよく分からない話なんじゃないかなーと…

あと、ラブシーンも多いけど、食事シーンも多かったですね。監督の重要なポイントなのかしら。
クライマックスで滝口が川に沈み、片桐だけが生き残り、警察官に包囲されて片桐が吠えるように叫ぶ…というのはなんか既視感がありそうな、体制VS個人みたいな演出なんですかね?と、そのような感じでした。
こんなん言ってますがとりあえずおもしろかったですよ!三億円事件の生き残りをバンバン殺していくあの人はどこでその銃を手に入れたの!とか、ツッコミどころ満載ですから!

渡辺大ピンポイントの感想で言うと、頭にタオル巻いてるところがいちばんよかったです(なにその感想)。あとラストのビジュアルはよかったなー。やっぱカッコいい!
小道具的な話をすると、もっとも印象深かったのは、元警官のホームレスにして事件の重要人物がケーブルマフラーとケーブル帽子のコーディネートで決めていたところが、絵面的におもしろかったですよ!って、どこを見てるんだって話ですな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

オレたちバブル入行組

今度「鉄の骨」がドラマになるらしいので原作を買ってきて、そういえば昔読んだこの作品について書いてみることにしました。池井戸氏は元銀行マンということで、銀行ジャンルものをいくつも書いている作家さん。
本作は、バブル期に銀行にはいった半沢さんが主人公。とは言っても彼も既に大阪西支店の融資課課長。無理目な融資を上司の押しで無理無理やってみたら、融資先が焦げ付き、その責任は全て半沢に押し付けられる。どうやらスケープゴートにされた模様。
半沢は逆襲に燃え、様々な手を使って真実に辿り着き、自分を陥れた人物へのリベンジを謀る。という内容です。

銀行ものですので難しそうな内容を書いているのですが、割とそれが読みやすく、上手くかみ砕いて説明して貰えるような感じです。銀行の中でもいろんなタイプの人が出てきてそれも面白い。特徴的だと思ったのは、主人公のリベンジっぷりです。リベンジされる側がかわいそうになってくるくらいえげつないやり方で、なんていうかドス黒い(笑)銀行の上にある陰謀を暴いてるっていうと勧善懲悪みたいなんですが、主人公は、明らかに私憤で動いてるように思えます。そのへん、ある種の綺麗で定型的な主人公ではなくて、ちょっと面白いような。それが非常にインパクトの強い作品でした。

主人公が陰謀に切り込んでいく時、敵に容赦なく相手に斬りかかっていくんですね。悪意丸出しと言ってもいいような感じで。それが出来るのは、陥れられて、やり返している立場だからなのかな、自分が正しいと思っている立場だからガンガンいけるのかなー、と思ってみたり。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

横山秀夫『臨場』を読む

横山秀夫『臨場』を買ってきました。ドラマを第一シーズンから見てるんで、原作の方が後になります。原作は短編の連作集という感じなんですね。ドラマだと倉石さん主役に全て置き換えられていますが、原作だと倉石さんはちょこっとしか出てこないこともあり、まさに原作とドラマは別物という印象でした。

個人的に一番良いなと思ったのは『餞』。この選曲が泣かせにきてるだろ!と、うっかり小松崎さんに感情移入して泣きそうになりました(笑)

『黒星』原作の小坂さんのだめんずウォーカーぶりに衝撃を受けました。ドラマはみんな健全ですよねえ。

『真夜中の調書』犯罪者の息子を庇う父親に投げかけた、倉石さんの突き放すような台詞が、さらに佐倉さんによって咀嚼され、父親に伝わる。
加害者と被害者にはあった長い年月にわたるつながりが、この息子と父親にはない。それは父親がそれを投げ出してしまったからであると。その台詞が切ないですね。

『声』はつい最近ドラマで見たばかりですが、なるほど確かに評判通りドラマは随分マイルドになってるんですね。梨緒さんは決してそんなつもりはないのに、そういう方向に取る悪い男に行き会ってしまって、そういう方向に取られてしまうんだろうなあ。
しかし、原作の職場のオッサン上司二人は酷すぎるんじゃないかと…ドラマのは、ナチュラルにセクハラボディタッチをかます上司がすぐに「女の子の書いた物」とか言い出したり、実力を認めて引き抜きに来た他紙の編集者がやっぱり彼女狙いだったとかそういう話でしたよね。
でも逆にそれって最初からセクハラ系のキャラなのであって「まあ、こういう人いるよね」という印象だったのですよ。原作はオッサン二人とも梨緒さんが好きだと言いながらコレですからね。なんか余計、最低なんじゃないかと。

イチも設定違うんですね。
原作:既婚者で、どっぷり嵌った若い不倫相手が一度ウザくなったら別れさせるように自分から仕向ける
ドラマ:独身。準キャリアで水商売のおねえちゃんと一度は付き合ったけど別れる
ドラマのイチのほうが身綺麗に改変されているような(笑)ドラマは色々な意味で健全な世界観になっているんだと思いました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

黒川博行「螻蛄(けら)」を読む

図書カードをゲットしたので超・久しぶりにハードカバーに手を出してみました。
このシリーズ『暗礁』を読んだはずなんだけど、どうも記憶が曖昧です。まあ、場所が大阪か北朝鮮か沖縄かで、やってる内容は変わらないような気がするんですが(笑)今回は桑原さんが東京デビューという話だと知り、買ってみましたよ!どんな理由だ。

序盤、二宮がもうそろそろ38になるという設定を見て、時は流れたなあ…と思ったり、この人本当に今後の人生大丈夫なのかとうっかり心配したりでした。だって嶋田さんがゴルフレッスンのDVDみてるところにお邪魔して、

「ゴルフする?」
「下手なんです」
「じゃあこのレッスンDVD持っていきなよ」
「DVD本体がありません」
「じゃあ本体ごとあげるよ」

って、DVDソフトを本体ごとをお持ち帰り。もうすぐ38にもなろうという人が昔お世話になったヤクザの若頭に、いま使ってるDVD配線ひっこぬいてそのま貰って帰るのかよ!それはカタギの思考回路ではないよ!

常々、二宮さんは母ちゃんがお亡くなりになったら兵糧が尽きて死ぬんじゃ無かろうかと思っていたのですが、今回も従妹の悠紀ちゃんとか悠紀ちゃんの知人のゲイバーにお勤めの麻衣ちゃんとか、もう本当に色々な人にお世話になっています。そういえば今回は母親にはお金を借りていないような気が…と思ったら母親に借りたお金があるから旅先で昼キャバに行こうとか思いついててどうしようかと思いました。
『疫病神』の頃の二宮さんはともかく、今回の二宮さんは間違いなくマダオなんじゃないかと思わされましたヨ。

って、全然本編に関係ないですな。本編は宗教法人に絡んでヤクザの桑原さん(と桑原にひきずられた二宮)がお金儲けをもくろむ話です。しかし二宮・桑原ほかシリーズを通じて登場するキャスト以外はお金儲けをしようとする坊主とか坊主を抱き込んだ警察とか対立組織のチンピラとかそういう人たちしか登場しないという。
まずはここに行って殴られ、次にココでボロ雑巾になり、さらにはあそこで死にそうになり、というイベントが次々と起こり、…と、なんか連載モノっぽい話であるといいますか(実際に連載ものだったような)バタバタやってるうちに終わっちゃったかなという気はしなくもありません。
シリーズものとしては最初の『疫病神』やら『国境』の方が面白いと思いますので、このシリーズで最初にコレを読んじゃうよりも、最初の二作で行ってみたほうがいいんじゃないかなーと思いました次第です。

このシリーズは毎回いろんな利権が出てきて、それをとても詳しく書いてあるんですが、だから主人公がなにかを懐疑したり目覚めたりとかいうことはひとつもないんですね。とりあえずお金儲け、それですらない。
主人公の二宮は、ラクに稼げるかと思ってうっかり変な話に乗って、毎回変なトラブルに巻き込まれ、毎回引きずり廻され死にそうになり、ここまで来たらなんかお金貰わないとやってらんねー!という人です。なので実は、「金儲け」というポリシーもありません。そういうものがあるなら一本筋が通っているんだけど、べつにそういう筋もない。
二宮の今回の稼ぎは300万なんですが、毎回毎回積み重ねて今回もこんな目に遭って、それで300万なら最初からやらない方がいいと思うんですよ。というのは実は、二宮も毎回思ってるんだけど、何故か二宮は割に合わない行為を毎回繰り返す。結局、二宮はそういう懲りない人だなーと。

どんな大きなものに触れてもなにひとつ変わらない。その徹底した空気がこのシリーズの魅力だと思います。とりあえず毎回懲りずにオチも一緒で笑ってしまう。ただまあそのかわり、どれを読んでもべつに変わらないよね、という気がしなくもありません(爆)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

おべんとう

突然、キティちゃんのキャラ弁を作るのだよ!と意気込んでみました。

20100506081104

どう見ても普通のねこです。なんか猛烈な敗北感に襲われています…
キャラものって難しいんですね。反省しました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«「江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた」